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材料調査

機械試験とは

このページでは機械試験に関する用語と、代表的な試験に関する説明を掲載しています。

<用語の説明>

機械試験:

機械試験(工業材料の機械的性質を測定する試験)は、静的試験(材料をゆっくりと変形させ、一定の変形ごとのひずみや変形の度合いを確認する試験のこと)、動的試験(実際に装置等に組み込まれた際に受けると想定される力によるひずみや変形の量を確認する試験のこと)に大きく2分されます。

機械試験の図表

機械試験の大部分は物を壊して試験を行う「破壊試験」です。したがって、規格を満足する試験片を採取し、これを破断して性質を測定することになります。

機械的性質とは:

JIS規格では、機械的な変形及び破壊に関する諸性質のこと(JIS G 0203)と定義されています。引張強さ、降伏点、伸び、絞り、硬さ、衝撃値、疲れ強さ、クリープ強さなどが該当します。端的に言うと、<物の強さ(硬い、変形しやすい、伸びやすい)=加工のしやすさなど>の指標です。

切断・ねじ加工・切削などの加工の目安

材料の機械的性質は次の3つに大別されます。

  1. 降伏点、引張強さなど:一定条件の変形や破断に対する抗力の大小を示すもの。
  2. 伸び、絞りなど:破断までに変形しうる量の大小を示すもの。
  3. 弾性係数、歪硬化指数など:歪とこれに対応する応力との相関関係を示すもの。

機械試験の目的:

機械試験の目的は「試験目的」と「検査目的」の2つがあります。
試験目的とは試験機によって必要な性質を数値として得る試験のことで、主に設計に利用するための試験を指します。一方、検査目的とは試験で得られた数値が製作仕様に合格するか否かを判断する試験を指します。

<試験の説明>

1)引張試験

材料の強さについての基礎的なデータを得る目的で行なわれ、機械試験の中で最も基本的な試験が引張試験です。引張試験では一般に丸棒または板などの平行部をもつ試験片(ダンベルのような形)をその軸方向に引張荷重を加えて荷重と変形を測定します。
引張試験で得られるデータとしては、引張強さ、降伏点、伸び、絞りなどがあり、対象の強さや延性を求めることができます。
引張試験で測定されるデータは、試験片の形状や寸法、採取位置や方向、試験条件(試験速度や試験温度)によって変わります。よって、特別な場合(たとえば研究用)以外は規格(JIS、ASTM規格など)で規定された試験片形状、採取位置、および試験条件を適用し、データの差異をなくすようにします。

引張試験のイメージ
引張試験の様子

2)曲げ試験

曲げ試験は主に材料の変形能(ねばさ)を検査する試験として利用されています。
規格に基づいた半径、曲げ角度で試験を行い、曲げた面(外側)に生じるき裂の有無で合否を判定します。

曲げ試験のイメージ
曲げ試験の様子

3)衝撃試験

衝撃試験は、試験片に衝撃を与えて破断させ、破断のために吸収されたエネルギーの大きさで材料の粘り強さ(靱性)、脆さ(脆性)の程度を確認する試験として利用されています。
吸収されたエネルギーは、規格に定められた能力を持つ試験機により試験を行い算出します※。
このエネルギーが大きいものほど粘り強く、小さいものは脆いということになります。
靭性が必要な鋼材は、低温で衝撃試験を行い、基準以上の吸収エネルギーが得られることを確認します。

※吸収エネルギー(J)=持ち上げたハンマーの位置エネルギー(J)-振り上がったハンマーの位置エネルギー(J)

衝撃試験機のイメージ
衝撃試験機

4)硬さ試験

硬さは引張強さと同類の抗力に属する性質です。硬さは定義がなく、物理的な単位がありません。硬さ試験は試験面に規格で規定された硬い物体(圧子)を押し付け、その変形量を数値化します。試験には複数の試験方法(ブリネル試験、ビッカース試験、ロックウェル試験など)があり、それぞれの試験方法の名称を硬さ単位として表示します。主要な硬さの単位は、 〇〇HBW (ブリネル硬さ)、〇〇HV(ビッカース硬さ)、〇〇HR(ロックウェル硬さ)、〇〇HS(ショア硬さ)です(〇は数値)。

硬さ試験機のイメージ
硬さ試験機(ビッカース)

引張強さ、耐力などの強さは定義(物理的な単位)があり、各種規格による試験を行うことで値を得ることができます。得られた値は強度計算の基礎として使用されていますが、強さに関する試験には寸法、試験片採取方向など、種々の制限があります。一方、硬さ試験は制限が少ない試験であり、強さと一定の関係があるので、制限を受ける場合の強さを知る試験としても利用されています。
硬さ試験の利点の例としては、(1)試験片に形や大きさの制限が少ない。(2) 使用に供する部品や破片でも測定できる。 (3) 局部的な性質を知ることができる。 (4)短時間に測定できるため、製造工程内で熱処理や加工度の適否を判定できる。(5)携帯用の試験機を用いれば場所の制限を受けない、などがあります。

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