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クレーン自主検査の法的根拠

職場でクレーンの管理を担当されている方以外は、クレーンに定期自主検査が必要なことをご存じないかもしれません。また、定期的にクレーンの検査が必要であることを知っていても、どの法律に基づいて実施しているかまではご存じないかもしれません。そのため、簡単に関連法令について紹介いたします。

定期自主検査の根拠となっている法律は、労働安全衛生法です。そこには自主検査に関連する内容が書かれています。

労働安全衛生法

第四十五条 第一項
事業者は、ボイラーその他の機械等で、政令で定めるものについて、厚生労働省令で定めるところにより、定期に自主検査を行ない、及びその結果を記録しておかなければならない。

第三項
厚生労働大臣は、第一項の規定による自主検査の適切かつ有効な実施を図るため必要な自主検査指針を公表するものとする。

第四項
厚生労働大臣は、前項の自主検査指針を公表した場合において必要があると認めるときは、事業者若しくは検査業者又はこれらの団体に対し、当該自主検査指針に関し必要な指導等を行うことができる。

クレーン自主検査

労働安全衛生法には、自主検査の対象となる設備として「ボイラーその他の機械等」と書かれているだけで、「クレーン」とは一言も書かれていません。自主検査の対象としてクレーンが対象となることを確認するためには、内閣の出す法令(政令)である「労働安全衛生法施行令」を見なければなりません。労働安全衛生法施行令の第15条 第一項一号を確認すると定期に自主検査を行うべき機械等としてクレーンが挙げられています。

労働安全衛生法施行令

(定期に自主検査を行うべき機械等)

第十五条
法第四十五条第一項の政令で定める機械等は、次のとおりとする。

  1. 第十二条第一項各号に掲げる機械等、第十三条第三項第五号、第六号、第八号、第九号、第十四号から第十九号まで及び第三十号から第三十四号までに掲げる機械等、第十四条第二号から第四号までに掲げる機械等並びに前条第十号及び第十一号に掲げる機械等

このうち、例えば第十二条第三号および第四号では、

(特定機械等)

第十二条

法第三十七条第一項の政令で定める機械等は、次に掲げる機械等(本邦の地域内で使用されないことが明らかな場合を除く。)とする。

  1. つり上げ荷重が三トン以上(スタツカー式クレーンにあつては、一トン以上)のクレーン
  2. つり上げ荷重が三トン以上の移動式クレーン

として、ここでようやく「クレーン」を確認することができます。

さらに、自主検査の頻度や内容を確認するためには、各省庁の大臣が発する命令(施行規則)である「クレーン等安全規則」を確認しなければなりません。

クレーン等安全規則

(定期自主検査)

第三十四条

事業者は、クレーンを設置した後、一年以内ごとに一回、定期に、当該クレーンについて自主検査を行なわなければならない。ただし、一年をこえる期間使用しないクレーンの当該使用しない期間においては、この限りでない。

  1. 事業者は、前項ただし書のクレーンについては、その使用を再び開始する際に、自主検査を行なわなければならない。
  2. 事業者は、前二項の自主検査においては、荷重試験を行わなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当するクレーンについては、この限りでない。
    1. 当該自主検査を行う日前二月以内に第四十条第一項の規定に基づく荷重試験を行つたクレーン又は当該自主検査を行う日後二月以内にクレーン検査証の有効期間が満了するクレーン
    2. 発電所、変電所等の場所で荷重試験を行うことが著しく困難なところに設置されており、かつ、所轄労働基準監督署長が荷重試験の必要がないと認めたクレーン
  3. 前項の荷重試験は、クレーンに定格荷重に相当する荷重の荷をつつて、つり上げ、走行、旋回、トロリの横行等の作動を定格速度により行なうものとする。

(定期自主検査)

第三十五条

事業者は、クレーンについて、一月以内ごとに一回、定期に、次の事項について自主検査を行なわなければならない。ただし、一月をこえる期間使用しないクレーンの当該使用しない期間においては、この限りでない。

第三十五条

  1. 巻過防止装置その他の安全装置、過負荷警報装置その他の警報装置、ブレーキ及びクラツチの異常の有無
  2. ワイヤロープ及びつりチエーンの損傷の有無
  3. フツク、グラブバケツト等のつり具の損傷の有無
  4. 配線、集電装置、配電盤、開閉器及びコントローラーの異常の有無
  5. ケーブルクレーンにあつては、メインロープ、レールロープ及びガイロープを緊結している部分の異常の有無並びにウインチの据付けの状態
  1. 事業者は、前項ただし書のクレーンについては、その使用を再び開始する際に、同項号に掲げる事項について自主検査を行なわなければならない。

クレーン自主検査

このように、数々の法律や規則でクレーンの自主検査が義務付けられていることがわかります。

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