計量器の校正って何?必要なの?
Q校正とは?
<JIS Z 8103 :2000「計測用語」より抜粋>
計器又は測定系の示す値、若しくは実量器又は標準物質の表す値と、標準によって実現される値との間の関係を確定する一連の作業。
備考:校正には、計器を調整して誤差を修正することは含まない。
要約すると、計測器・計量器の表す値が、標準となる値に比べ、どれくらい誤差(器差)があるのかを確認する作業です。
Q校正は何故必要?
計測器・計量器は摩耗や破損、経年変化等で正しい測定値が得られない可能性があります。
不良品か否かを確認せずに使用していると、測定値の信頼性が損なわれてしまいます。測定結果に信頼性を与え、製品の品質を保つために校正が必要とされています。
Q計量器の検定とは違うの?
計量法で指定されている”特定計量器”は、取引・証明用に使用するために、計量法に基づいた”検定”を受け、合格する必要があります。
この検定では国際的なトレーサビリティが確保できないことや、検定を受けることができる計量器が限定されていること等より、お客様の監査等では”校正”が必要になります。
Q校正周期にルールはある?
法律等で定められてる場合以外は、特に決め事はありません。
そのため、コスト面や使用状況等を考慮して、校正周期をお客様が決定することになります。
また、経年変化等により、計測器・計量器の表す値が変化する可能性がありますが、変化しているか否かは、次に校正するまでは分かりません。
表す値が変化しやすい使用状況や、測定値の高い信頼性が必要な場合などは、校正周期を短くしてはいかがでしょうか。
表す値が変化しやすい使用状況や、測定値の高い信頼性が必要な場合の例。
- 高温多湿や温度変化が激しい等、環境条件が悪い
- 錆びやすい
- 可動部や接触部が有り摩耗しやすい
- 使用頻度が高い
- 出荷前検査に使用
校正周期を必要以上に長く設定すると、校正費や校正による手離れ期間等のコストは減少しますが、経年変化等による精度の悪化に気が付きにくく、測定の信頼性は低下します。
校正周期の決定にお悩みの場合は、当社サービスとして、計測器・計量器管理に長年培った経験を活かした校正周期をご提案可能です。
Q校正は合否判定しない?
一般的な校正に合否判定は伴いません。校正した結果、使用可能かどうか判断するのは、お客様自身が行うことになります。
ただし、当社ではお客様からのご要望がある場合は合否判定をいたします。
合否判定に必要な許容値(メーカー許容値やお客様の仕様など)をご提案ください。
また、許容値の決定にお悩みの場合は、当社独自の許容値をご提案可能です。
Q許容値にルールはある?
法律等で定められている場合以外は、特に決め事はありません。
ただし、測定する製品公差より厳しい許容値に決定しなければ、測定値の品質は保証できません。
Q校正で不合格になった場合はどうすればよい?
不合格になるまでの期間に測定した数値の”妥当性確認”が必要です。
何故かというと、「誤った測定値」で製品の合否判定が行われ、不良品を合格品として、顧客に引渡してしまった可能性があります。
校正した日に突然精度が悪化したわけではないため、いつから精度が悪化したかを特定し、それ以降に測定した製品の品質に影響が無いか確認する必要があります。
精度の悪化時期の特定方法例
- 過去に不合格の計測器・計量器で測定した製品を、別の合格している計測器・計量器を用いて同一箇所を測定する。測定値に大きな変化がない場合は、その製品を測定するより前の測定結果は妥当だったと判断する。
- 日常点検にて、使用前に同じ物を測定するなどで精度確認を行い、測定値が変化した日があれば、その日から精度が悪化したと判断する。
製品品質への影響確認方法例
- 不合格原因が許容値オーバーの場合、製品を測定した数値に、校正後の値を補正することにより、製品の合否判定に影響するか確認する。
「妥当性確認」を行い、不良品を顧客に引き渡した可能性があると判断した場合は、本当に不良品ではないか確認する必要があります。
不良品を顧客に引き渡さないためにも、計測器・計量器が不合格にならないよう管理することが大切です。
Q定期校正で不合格にならない方法はないの?
確実に不合格にならない方法はありません。ただし、下記方法により、不合格の可能性を下げることはできます。
調整可能な計測器・計量器
- 定期校正の際、許容値に対してギリギリの校正値となり、次回校正すると不合格になる恐れがあると判断した場合、計測器・計量器の表す値を調整し、誤差(器差)を0に近づけます。
調整不可な計測器・計量器
- 同様に、次回校正すると不合格になる恐れがあると判断した場合、新品の計測器・計量器に交換します。
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