圧力計を取り付ける際のヘッド差の注意点(高低差)
<ヘッド差について>
圧力計を用いて、液体が満たされた配管内の圧力を測定する際、圧力計を取り付ける高さに気を付ける必要があります。具体的には、配管内の高い位置に取り付けると、圧力計は小さい値を示し、低い位置に取り付けると、大きい値を示します。
これは海に潜ると水圧がかかることと同じで、例えば1000m潜ると約10MPaの水圧がかかります。原理としては、重力・媒体密度・高低差の3つの要因が関係し、それぞれが大きければ大きいほど圧力差が大きくなります。
配管内の圧力を測定する場合、圧力計を取り付ける位置寸法が「変数」となり、高い位置に取り付ける場合と低い位置に取り付ける場合との差を【ヘッド差】と呼びます。ヘッド差が有る場合は、必要に応じて補正する必要があります。
※一般的な補正式は以下となります。
基準高さの圧力:P
圧力計が示す圧力:Pn
配管内の媒体密度:ρf
空気密度:ρa
重力加速度:g
ヘッド差:H (基準高さに比べ、圧力計の位置が高い場合の符号は負、低い場合は正)
P=Pn-(ρf-ρa)・g・H
補正式より、媒体密度と空気密度との差が小さい場合やヘッド差が小さい場合は、圧力差が小さく※1、また圧力が高圧であればある程、誤差の影響は小さくなります※2。
※1
媒体が水(密度:約1.0g/cm³)の場合、大体1m毎に0.01MPaの圧力差
媒体が油(密度:約0.9g/cm³)の場合、大体1m毎に0.009MPaの圧力差
※2
100MPaに対して0.01MPaの誤差は0.01%の影響
0.1MPaに対して0.01MPaの誤差は10%の影響
<実際に検証してみました>
同一配管内(100kPa)において、高低差をつけてデジタル圧力計で測定検証
[条件]
タービンオイルVG32の密度(ρf):0.86g/cm³
兵庫県の重力加速度(g):9.797m/s2
ヘッド差(H):0.20m
※空気密度(0.001205g/cm³)は無視可能
補正値計算:0.86×9.797×0.20≒1.68kPa
[結果]
実際には高い位置が98.5kPa、低い位置が100.0kPaを示し、差は1.5kPaとなりました。補正値計算通りではありませんが、近い値が出力されました。
このように圧力計の取り付け位置が変わるだけで圧力差が生じてしまうことがお分かり頂けたと思います。
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