校正仕様ってJIS規格通りでないといけないの?
計測器の校正方法や許容値の基準として、最初にイメージするのはJIS規格ではないでしょうか。代表的な計測器はJIS規格が準備されており、構造や機能の他、性能の測定方法や許容値が明記されています。これを満足すれば、当然性能は担保されると判断できるでしょう。ですが、JISは「製造時における様々な合理化」を背景に準備されたもので、継続使用時の管理の観点においては、適切でないと思われる一面もある為、一度JIS規格の内容を確認してみましょう。
<JIS規格 ~外側マイクロメータの検査~>
外側マイクロメータのJIS規格(JIS B 7502:2016)の一部を例に挙げると、下記項目の検査が要求されております。
- スピンドルの固定
- 全測定面接触誤差(器差)
- 繰返し精密度
- 部分測定面接触誤差(実用的には測定面の平面度及び測定面の平行度)
- スピンドルの送り精度
- 測定力
- 測定力のばらつき
- 10N当たりのフレームのたわみ
- スピンドルの軸線に対する測定面の直角度
- 図1.10N当たりのフレームのたわみ
- 図2. 測定力及び測定力のばらつき
実際に外側マイクロメータを使用した経験のある方は、「ここまで検査しなくても良いのでは?」と感じられるのではないでしょうか。また、実際に全ての項目の要求を満たした校正記録をご覧になられた方は少ないのではないでしょうか。
JIS規格の検査項目が多い理由は、先にも述べたように製造時の性能を記載しているためです。
※計測器の種類によっては、使用中の性能についても一部、明記されているものもあり、少し緩和された内容で記載されている場合があります。
上記、全ての項目を校正すると、コストが大幅にかかることに加え、実施可能な校正機関も限定されてしまいます。
使用状況や測定対象品などによっては、JIS規格の項目全てを実施することは、必ずしも必要でない場合があり、使用状況の側面からJISなどを参考にし、校正項目を検討することを推奨致します。
自社の製品検査の観点から、当該の計測器の使用に問題無いと判断すれば、独自の校正内容を適用させても問題ありません。
※ただし、規格や法などにJIS規格の規制が有る場合は、それに従う必要があります。
メーカーや校正機関に校正内容の決定を一任することも一つの手段ですが、製品検査の要件に適した校正が成された計測器を用いているのか、必要以上にコストをかけていないかなど、適切な計量管理をしていく上で、今一度、校正成績書の内容を確認されては如何でしょうか。
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