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一般検査

赤外線サーモグラフィ試験
(Infrared Thermographic Testing、略称TT)

1.はじめに

赤外線サーモグラフィ試験の適用分野は非常に多岐にわたっています。また、単に測定対象の温度分布を測定するだけにとどまらず、製品の品質管理、設備の保守点検および非破壊試験などに深く利用されています。

一般に赤外線サーモグラフィ試験は次の特徴のいずれかを利用しています。

  • 広い面積を離れた場所から短時間で撮影できます。
    (「足場が不要」などコスト低減効果大)
  • 写真のような二次元情報を一度に得られます。
    (指示の見逃しが少ない)
  • 設備の稼働中でも試験できます。
    (点検のために設備を止める必要がありません)

以降では、当社で実績のある電気設備、機械設備及び配管の状態把握に適用した事例に加え、非破壊試験に適用した事例を紹介します。

2.電気設備関連

電気設備への適用はアメリカでは比較的早い段階で実用化された分野です。

長期間利用されている配電盤で使用されている端子台や漏電遮断器では、端子台の接続不良(緩み)や接点の接触不良等の異常が発生していることがあります。この状態を放置したまま使用を継続すると、ジュール熱による過熱で火災の原因となります。

そのため、早い段階で赤外線サーモグラフィ試験によって異常を検出し、対処することが大切です。 図1に漏電遮断器の端子台が発熱している様子を示します。

図1 漏電遮断器の端子部における発熱
(a) 熱画像
(a)熱画像
(b) 可視画像
(b)可視画像

電気設備に発生した異常の重大度を評価するとき、同一機器間や雰囲気温度との温度差(ΔT)を基準として用いる場合が多く、このとき、米国において定められた次の規格が参考となります。

  • ANSI/NETA MTS-2007 Maintenance Testing Specifications for Electric Power Distribution Equipment and Systems
  • MIL-STD-2194(SH)Infrared Thermal Imaging Survey Procedure for Electrical Equipment

3.機械設備関連

機械要素として軸受が多くの機械設備で用いられています。軸受の破損によって設備が停止すると、大きい経済的損失や人命に危険を招く場合があります。そのため、軸受の故障が事前に予知できれば、設備保全上大きいメリットが得られます。軸受に異常があるとき、多くの場合において温度変化が生じます。そのため、軸受やその近傍の温度を定期的に測定して、トラブルの発生を事前に予知することが大切です。

ポンプ用電動機で軸受の異常を検出した事例を紹介します。図2に二台並列に同様の負荷で稼働している電動機の軸受け部の熱画像と可視画像を示します。A系列とB系列の軸受で同一部位の温度を比較したところ、A系列の軸受が4.6℃高いことが確認できます。

熱画像の撮影は機械設備が定常運転となり、軸受の周囲が熱平衡の状態となってから行います。

図2 ポンプ用電動機における軸受異常の検出例
(a) ポンプ用電動機の軸受部の可視画像(A系列)
(a)ポンプ用電動機の軸受部の可視画像(A系列)
(a) A系列の熱画像
(a)A系列の熱画像
(b) B系列の熱画像
(b)B系列の熱画像

4.配管関連

プラントを長年稼働させていると、配管中にスラッジと呼ばれる堆積物が溜まることがあります。このとき、スラッジの成分によっては配管の内面を腐食させる原因となります。また、配管の断面積が小さくなるため圧力損失が増加し、プラントの運用コストが上昇する原因にもなることがあります。

図3に比較的直径の大きい鋼製のガス配管の内部に堆積したスラッジの界面レベルを調査した事例を示します。熱画像では明確に表れない界面の位置を信号処理の工夫によって決定した事例です。

図3 ガス配管におけるスラッジ界面の調査事例
(a) 可視画像
(a)可視画像
(b) 熱画像
(b)熱画像

5.非破壊試験関連

素材の耐摩耗性を向上させるため、硬質クロムめっきが行われています。しかし、クロムめっきのプロセスに問題があるとき、めっき表面にせん断力を加えると容易に剥離が発生する場合があります。めっきの密着性試験方法としてはJIS H 8504:1999が定められています。しかし、破壊試験かつ定性的な試験となっています。めっきが剥離している領域を非破壊で特定するため、CFRPの層間剥離を検出する手法として用いられている、パルス加熱によるアクティブ赤外線サーモグラフィ法を採用しています。図4に大型クロムめっき部品の層間剥離を検出した事例を示します。フラッシュライトで試験体表面を瞬間的に加熱すると、めっきが密着していない部分では試験体下部への熱伝導が妨げられます。その結果、剥離部分は非常に短時間であるが正常部と比べて局所的に温度が高い領域として検出されています。

クロムめっきの剥離検出事例を紹介しましたが、金属やセラミックスの溶射被膜の剥離も同様に検出できます。

図4 大型めっき部品の層間剥離検査事例
(a) 計測の様子
(a)計測の様子
(b) 熱画像
(b)熱画像

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