計測器の保管方法にご注意を!
計測器の取扱説明書には、保管方法の記載があることをご存知でしょうか?代表的な内容では「保管場所」の注意で、「直接日光の当たらない場所」、「温度・湿度変化の小さい場所」などが挙げられています。計測器の種類によっては、当然と思うような記載もあれば、何故そのような方法で保管する必要があるのか、一見すると疑問に思うような記載もあります。本頁では、この中でも特徴的な保管方法について解説します。
①マイクロメータ、ノギスの保管方法
- マイクロメータの測定面を若干量開いて保管 ※ノギスは閉じていてもOK
- クランプせずに保管
【解説】
マイクロメータやノギスは、上記画像の「クランプ」により、可動部を固定をしたまま保管しないことが、注意点とされています。保管する際、勝手に可動部が動いて破損しないように固定することや、計測器の目盛位置を最小目盛まで戻してから保管する必要があると考えてしまいがちのため、注意が必要です。
これは、温度変化による熱膨張・熱収縮による「力」が働く為、クランプなどによって可動部を強固に固定してしまうと、「力」が逃げないため、この応力がクランプ部分に負荷され続けてしまいます。応力が負荷され続けると、精密な計測器の精度に悪影響を及ぼす可能性があるため、このような保管方法が推奨されています。
② プリセット型トルクレンチの保管方法
- トルク値は、測定範囲の最小値にセットして保管
【解説】
プリセット型トルクレンチは、今回紹介の方法以外で保管すると、寿命を縮めてしまう可能性があります。作業開始時の使いやすさや目盛を動かす手間の削減・時間効率、誤った目盛位置で使用しないための工夫として、普段使用するトルクにセットして保管することを考えてしまいがちのため、注意が必要です。
これは、プリセット型は内部のスプリングの伸び縮みによって、トルク値がセットされる機構であるため、測定範囲を大きくする側にセットして保管すると、常に、スプリングに負荷が加わった状態となります。
この状態で長期間保管すると、スプリングがへたりやすくなり、トルク値の精度に悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、より負荷を抑えたい思いで、最小測定範囲より小さい側にセットしても、逆にスプリングの負荷が増すようになっているため、注意しましょう。
計測器管理において、特別な管理が必要と思われにくい保管方法ですが、計測器の精度維持のためには、取扱説明書を良く確認し、適切に取り扱うことが大切です。
もし取扱説明書に記載されていない保管を検討される際は、些細な内容であっても、重大な不備に繋がる可能性もありますので、採用される前には、メーカーなどに確認されることを推奨いたします。
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